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【マイコプラズマ肺炎】

今年の夏は手足口病、ヘルパンギーナ以外に「熱」と「長引く咳」の原因となる「マイコプラズマ」が猛威を振るっています。以前は4年に1回「オリンピックイヤーに流行する」と言われていましたが、今年は約8年ぶりの高水準とのことです。

主な感染経路は飛沫感染で、咳やくしゃみで感染します。潜伏期間は約2週間で通常の風邪に比べて長く、また初期症状が軽いこともあることから「歩く肺炎」とも言われています。気付かないうちに感染を広めていたり、感染していたりすることもあるでしょう。
検査は、喉の培養検査、迅速の診断キットによる抗原検査、血液の抗体検査などがあります。肺炎の診断は胸部レントゲン撮影を行います。

風邪はウィルスによるものが多いので、対症療法が中心になりますが、マイコプラズマには抗菌薬が有効です。ただ最近はマイコプラズマに有効とされる抗菌薬であるマクロライド系抗菌薬に耐性のものもいるので、抗菌薬を内服していても症状が長引く場合には抗菌薬の変更が必要となるかもしれません。

有効なワクチンはありませんので、かからないよう、またうつさないよう気を付けたいものです。予防として手洗い、マスクなどの基本的な感染対策を行うことや、栄養・睡眠を十分取ることで体力をつけて乗り越えましょう。

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【RSウィルス感染症】

爽やかな季節となりインフルエンザが落ち着いたと思ったら、今度はRSウィルスが広がっています。
RSウィルスはお子さん、特に乳幼児に感染しやすい気道感染症の原因となるウィルスです。

他の風邪ウィルスに比べると気管支の奥に入り込む性質があり、咳や鼻水以外に喘鳴(ゼイゼイする)や呼吸困難(息苦しさ)がみられることがあります。

病態としては、上気道炎から更に悪化して気管支炎や肺炎になることもあります。以前は秋や冬に流行していましたが、最近は春から夏に流行する傾向にあります。生後1歳までに50%以上の人が、2歳までにほぼ100%の人が一度は感染し、何度も感染するとされています。

治療は特別なものはなく、症状を和らげる対症療法が中心となります。咳や痰を和らげる薬を服用したり、水分、母乳・ミルクをしっかり摂ることが基本となります。

小さいお子さんや赤ちゃんの呼吸が苦しそうになってきたり、母乳やミルクが飲めなくなると入院して治療する可能性が出てきます。ご自宅では、呼吸状態や哺乳状態をしっかりと観察することが重要となってきます。


RSウィルスは飛沫感染や接触感染によってうつるため、予防としては手洗いをしっかり行うこと、お子さんが触る物などのこまめな消毒などの基本的な感染対策が重要です。


予防するワクチンは現在では重症化リスクのある病気(早産児や先天性心疾患など)のお子さんを対象に投与されています。
気になる症状がある方は受診して下さい。

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【麻疹(はしか)都内で発生】

3月の上旬に都内で麻疹の患者さんが確認されました。

その後も報告が相次いでいます。
日本は2000年以降麻疹ワクチンを2回接種する機会を設けたことなどにより、2009年以降は10〜20代の患者数が激減し、2015年に「国内から麻疹を排除した」と認定されました。
よって2015年以降の感染は海外からの持ち込みということになります。
一方海外で麻疹は、中央アジアやアフリカの国々を始め「世界的流行」状況にあります。
コロナ禍での医療機関のひっ迫を背景に、定期の予防接種率が低下したことなどが原因と考えられています。

現在日本では、海外での流行と渡航する人の増加により、海外からの持ち込みがやや増えている状況です。

これまで日本におけるMR(麻疹風疹)ワクチンの接種率は95%以上の高い数値を維持していましたが、コロナパンデミックも相まって2021年には93%にやや低下し、流行に拍車をかける可能性が出てきました。

麻疹は飛沫感染、接触感染そして空気感染もするため、感染力がとても強いのが特徴です。潜伏期間は10〜12日間、発熱、咳や鼻水が数日続いた後、一旦解熱しますが再び高熱が出て次第に顔や体に発疹(赤いブツブツ)が出ます。熱や倦怠感が1週間程度続くので、本人はかなり「しんどい」と思われます。

重症化すると肺炎や脳炎に至ることもありますので、要注意です。治療は解熱剤の投与や水分摂取などの対症療法となります。よって麻疹に対しては「ワクチンで予防する」ことが重要となってきます。

現在の定期接種では、満1歳時と就学前の2回が推奨されています。

ウィルスに対してなるべく多くの方が「予防」を行って、「広めない」ことが大切になります。

ワクチン接種歴については今一度ご確認ください。

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【感染性胃腸炎にご注意下さい】

例年、冬にはインフルエンザ以外に感染性胃腸炎(お腹の風邪)が多くみられます。

ほとんどがウィルス性で、「ノロウィルス」、「ロタウィルス」、「アデノウィルス」などがあります。         主な症状は下痢・嘔吐・腹痛です。感染した人の便や吐物に触れることによって感染します。

これらのウィルスはアルコール消毒の効果が乏しいので、石鹸で手洗いをすることをお勧めします。


原因はウィルスのため、特別な治療法はなく、吐き気を抑えるお薬(飲むまたは坐薬)を使うなどの対症療法が行われます。  吐き気がおさまるまでしばらく水分や食事は控えて胃腸を休ませ、吐き気がおさまったら少しずつ水分を補給しましょう。     小さなお子さんの場合、始めはスプーン1さじ、おちょこ1杯などのように少しずつ開始すると良いでしょう。        電解質が含まれているイオン水も良いです。水分がとれるようになってきたら少しずつ食事を開始します。          食事内容は消化の良い物、主食として炭水化物のおかゆやうどん、副菜としてタンパク質のお豆腐や白身魚、野菜は白菜や大根が良いです。食べすぎないよう、量を調節して下さい。


それでもなお、嘔吐が続く場合や、顔色が悪い、おしっこが少ないなどの場合は脱水の可能性がありますので、夜間でも救急外来を受診して下さい。